第65回全国高等学校スキー大会・アルペン競技(2016年2月7日 大鰐温泉スキー場/青森県)

男子SLは中平(東奥義塾)が制す。若月(八海)追撃及ばず2位

 

 大会3日目は男子スラロームが行なわれました。スラロームはGSコースの中間、大きく右に方向を変えて急斜面に突入する部分からスタート。10旗門ほど急斜面が続き、その後は緩斜面からふたたび中斜面への斜面変化を挟んで、ゴール前の緩斜面へと続くコース設定。それほど難易度が高いポイントはありませんが、昨夜もしっかりと水を撒いたおかげで、とくに急斜面や中斜面はかなりのハードバーン。そのため、1本目から注目選手が多く途中棄権に終わり、2本目もリバース(1本目30位以内)に入った選手が何人もコースアウトしていくサバイバルレースとなりました。

1位:中平賢郷(青森県・東奥義塾高校)
1位:中平賢郷(青森県・東奥義塾高校)

 そんなレースを制したのは、地元青森県の中平賢郷選手(東奥義塾高校3年)。1本目でトップに立ったものの、下位の選手たちとの差はわずか。プレッシャーも大きかったようですが、2本目もトリッキーなセットをしっかりと攻略して、若月隼太選手(新潟県・八海高校2年)の追い上げをわずか0.04秒かわしてゴール。大きくガッツポーズを繰り出し、地元選手の優勝だけに会場も盛り上がりました。
 3年時に地元・大鰐温泉でインターハイが行なわれることを知って東奥義塾高校に進学。思い描いていた地元でのインターハイ制覇をみごとに成し遂げました。数多くの名選手を輩出してきた古豪・東奥義塾高校にとっても、男子のインターハイ優勝者は1995年の工藤昌巳(現アトミックチームコーチ)以来です。(女子は2009年に後村茜がスラロームで優勝)

表彰台の中平賢郷選手
表彰台の中平賢郷選手

 

 1本目の4位から2本目のラップタイムを奪う激しい追い上げを見せた若月選手は、悔しさの残る2位でレースを終えました。ジュニア時代から大きな注目を集めてきた若月選手は、1年生のときからインターハイの優勝をねらってきました。しかし、昨年1年生のときには新潟県予選で失敗して出場できず。今年の大会もGSでは1本目で途中棄権に終わっています。それだけにスラロームでの雪辱にかけていましたが、その思いもわずかに届かず。それでも、この経験をバネにさらに強い、世界で戦うことができる選手に成長することを誓ってくれました。ちなみに、若月選手は来週末に行なわれるワールドカップ湯沢苗場大会に、前走で登場する予定。どんな滑りを見せてくれるのか、楽しみです。

2位:若月隼太(新潟県・北海高校)
2位:若月隼太(新潟県・北海高校)

 

 3位には三上大我選手(山形県・山形中央高校3年)が入りました。1本目は1番スタートの好条件を味方につけて3位。逆転をねらって2本目に臨みましたが、後藤悠史選手(北海道・双葉高校3年)をかわしたものの、若月選手に割って入られ、結局順位は変わらず。悔しさも残る一方、全国大会での表彰台獲得は大きな成長の手応えにもなったようです。

3位:三上大我(山形県・山県中央高校)
3位:三上大我(山形県・山県中央高校)

 

 さて、来週末に行なわれるワールドカップ湯沢苗場大会には、高校生からただひとり、塩入資選手(北照高校3年)が出場する予定です(GSに出場予定)。今季はFISレースで優勝したり、韓国のファーイーストカップで8位に入賞するなど、ジュニア選手のなかで際立った成績を残し、その活躍によって強化指定選手外からワールドカップ出場メンバーに選ばれました。
 このインターハイでも活躍が期待されましたが、初日のGSでは6位入賞にとどまり、今日のスラロームは1本目で途中棄権に終わりました。最後のインターハイはけっして満足できない成績で終わりましたが、ワールドカップでは自分の滑りがどこまで通用するか、思いきって滑るそうです。期待しましょう。

高校生としてはただひとりワールドカップ苗場湯沢大会(GS)に出場する塩入資(北照高校)
高校生としてはただひとりワールドカップ苗場湯沢大会(GS)に出場する塩入資(北照高校)

 

文と写真:月刊スキージャーナル編集部

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