インターハイ男子ジャイアント・スラローム (2016年2月5日 大鰐温泉スキー場/青森県)

小山陽平(双葉)GS2連覇 2位に久保田(中野西) 3位は藤吉廉(双葉)

 

 今年のインターハイの舞台は、青森県大鰐温泉スキー場。過去、数多くの全国大会を開催してきた、国内でも有数の実績と歴史を持つレース会場です。ちなみに、直近では2002年にもインターハイが行なわれており、そのときは現在の全日本チームのエース、湯浅直樹(札幌商業高校・当時)が男子スラロームで優勝しています。

 大会初日は男子GSが行なわれました。各地で雪不足が叫ばれた今季ですが、ここ青森も例外ではなく、大会前のコース作りに苦労したそうです。結局、GSは本来予定されていたところより少しスタートを下げて実施。それでも、コースはかなりハイレベルな設定。スタートからしばらくは中斜面ですが、そこから方向を右に90度変えながら急斜面に突入。コース後半は中・緩斜面が主体ですが、細かい斜度変化がいくつかあり、けっして息を抜ける区間がありません。バーンもしっかりと水を撒いて固められていて、破綻するような大きな荒れは見られない、好条件でのレースとなりました。

1位:小山陽平(北海道・双葉高校)
1位:小山陽平(北海道・双葉高校)

 

 レースを制したのは小山陽平選手(北海道・双葉高校2年)。昨年のインターハイでは1年生ながらGSを制覇。実質的に全日本ジュニアチームとして活動している、toto(スポーツ振興くじ)の助成金による選手発掘・育成プログラムのメンバーにも選ばれており、この世代のなかでも随一のポテンシャルを持つ選手として注目されています。2連覇へのプレッシャーもあったようですが、1本目で2位以下を1秒近く突き放してトップに立つと、2本目でもその差をさらに広げてフィニッシュ。みごと2連覇を飾りました。
 小山選手は2月12日からリレハンメル(ノルウェー)で行なわれる第2回ユース・オリンピックの代表に選ばれています。世界各国から同世代のトップ選手が集まる、その大会での活躍を今季の大きな目標としていただけに、インターハイに照準を絞って調整するのはむずかしかったようです。しかし、そんな不安を吹き飛ばすような快勝で、世界大会に向けても大きな弾みになったようです。小山選手は明後日のスラロームには出場せず、早くもリレハンメルに向かいます。日本のユース選手の力と可能性を、世界の舞台で発揮してもらいたいところです。

2位:久保田拓(長野県・中野西高校)
2位:久保田拓(長野県・中野西高校)
3位:藤吉廉(北海道・双葉高校)
3位:藤吉廉(北海道・双葉高校)

 

 2位は久保田拓選手(長野・中野西高校2年)。久保田選手も昨年のインターハイGSで1年生ながら3位に入賞。その活躍と成長が認められ、今季からtotoのメンバーにも選ばれています。今季は、今までにないほどの海外遠征の経験を積むことができ、自身の成長を感じているようです。しかし、同世代のライバルである小山選手には及ばず。悔しさも残ったレースとなりました。

 3位にはゼッケン45番から藤吉廉選手(北海道・双葉高校2年)が入りました。昨季は膝の前十字靱帯を切る大ケガをして、満足なシーズンを送ることができず悔しい思いをしたそうです。それだけに今季にかける思いは強かったようで、それがインターハイでの3位入賞という結果につながりました。同学年のチームメイトであり、同世代のライバルでもある小山選手を、「いつか越えなければいけない存在」として、彼の背中を追い続けます。
 ちなみに、北海道・双葉高校は小山、藤吉両選手以外にも、5位に八幡優月選手(2年)、9位に吉田隼汰選手(1年)と、4人が表彰台へ。同世代のトップ選手を目標として、お互いが切磋琢磨してレベルアップした結果と言えるでしょう。

4人が入賞した双葉高校
4人が入賞した双葉高校

 そのほかの注目選手では、小山選手たちと同様、totoのメンバーに選ばれている若月隼太選手(新潟県・八海高校2年)が1本目で途中棄権に終わりました。1本目はポールが抜けている箇所で転倒。転倒に影響があったか微妙なタイミングだったそうですが、再レースを申請して滑り直し2位につけました。しかし、結局再レースが認められずに2本目を滑ることは叶いませんでした。

注目の若月隼太(新潟・八回高校)は、1本目途中棄権
注目の若月隼太(新潟・八回高校)は、1本目途中棄権

 

文と写真:月刊スキージャーナル編集部

 

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